文化の脱走兵
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文化の脱走兵
奈倉有里 著
講談社
2024
「群像」に連載されたエッセイ集。
ロシア文学研究者である奈倉さんは、2022年、「夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く」で第32回紫式部文学賞を受賞されています。
中学生のころに、レフ・トルストイを「猛烈に好きになった」という奈倉さん。秀でた人というのは、出会いを見逃さないのだなと思う。
身の回りの物や出来事をロシアの文学が繋いでゆき、子どもの時間と今の時間を行きつ戻りつしながら奈倉さんは考える。
考えて現れ出た言葉は柔らかく、読み手を責めたりはしない。けれども、甘やかしてもくれない。
「絶望してしまわないためには物語りが必要です。」
そんな力強い言葉を残して、奈倉さんは狸になって脱走を続ける。
奈倉さんの「すべてが決断に向かう」様を見せられると、私も狸にならざるを得ない(しかも奈倉さんはこの「決断」を「幸福」と呼ぶ。)狸になりたい、と思う。本を片手に逃げ続ける狸に。世界に絶望してしまわないために。そのことをずっと考えたい。
「文学は何度でも考え直し、示してみせよう。それは憎しみの連鎖を止めるための、人類の大切な共有財産だ。戦争の本質的な悪を、身勝手な権力の構造を、そこから生まれる社会の不安や管理社会の息苦しさを、無念な市民の思いを、恐れずに語り続けよう。」(「悲しみのゆくえ」より)
奈倉有里 著
講談社
2024
「群像」に連載されたエッセイ集。
ロシア文学研究者である奈倉さんは、2022年、「夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く」で第32回紫式部文学賞を受賞されています。
中学生のころに、レフ・トルストイを「猛烈に好きになった」という奈倉さん。秀でた人というのは、出会いを見逃さないのだなと思う。
身の回りの物や出来事をロシアの文学が繋いでゆき、子どもの時間と今の時間を行きつ戻りつしながら奈倉さんは考える。
考えて現れ出た言葉は柔らかく、読み手を責めたりはしない。けれども、甘やかしてもくれない。
「絶望してしまわないためには物語りが必要です。」
そんな力強い言葉を残して、奈倉さんは狸になって脱走を続ける。
奈倉さんの「すべてが決断に向かう」様を見せられると、私も狸にならざるを得ない(しかも奈倉さんはこの「決断」を「幸福」と呼ぶ。)狸になりたい、と思う。本を片手に逃げ続ける狸に。世界に絶望してしまわないために。そのことをずっと考えたい。
「文学は何度でも考え直し、示してみせよう。それは憎しみの連鎖を止めるための、人類の大切な共有財産だ。戦争の本質的な悪を、身勝手な権力の構造を、そこから生まれる社会の不安や管理社会の息苦しさを、無念な市民の思いを、恐れずに語り続けよう。」(「悲しみのゆくえ」より)