なみだふるはな

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なみだふるはな
石牟礼道子 著
藤原新也 著
河出文庫
2020

一九五〇年代水俣、そしてニ〇一一年福島。
企業と国家によって危機に陥れられたこの2つの土地の悲劇をそれぞれに目撃した2人が、絶望と希望の間を揺れ動きながら語り合う対話集。








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文庫になりました。
読み継がれてほしい一冊です。
この本についての思いは、ウェブマガジン「雛形」に寄稿しました。
https://www.hinagata-mag.com/column/38884
(HPは2025年7月をもって閉鎖されましたので、下に追記しました。)

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どうしようもない哀しみに襲われるとき、無力感に苛まれるとき、心無い声に惑わされてしまいそうなとき、立ち返る本が何冊かあります。「なみだふるはな」はその中の一冊です。
 本書は、水俣病の現実を伝えた「苦海浄土」をはじめ、様々な文学を遺された石牟礼道子さんと、写真家である藤原新也さんの2011年に行われた対談を文字に起こしたものです。主に石牟礼さんの幼少期の話と、現在の水俣の話と福島の話が行きつ戻りつしながら進むうちに、ページを繰る手が止められなくなる不思議な吸引力があります。すべてが今と繋がっていき、遠いも近いもなくなってしまう、どうしてこのような語りができるのか。掻き消されてしまいそうな小さな声をずっと拾い続けてきたお二人だからこそ、発せられる言葉は祈りに耳を傾けているような心持になります。
石牟礼さんは水俣の問題と向き合うときに、60〜70年前に起きた足尾鉱毒事件に立ち返ったと、「三田文学」の2015年の夏季号で中島岳志さんがおっしゃっていました。目の前の物事と対峙しようとしたときに、過去の死者の声に耳を澄ませ、そこから拾い上げて紡いだ言葉が、今を飛び越えて、未来の生者に届く。それは気の遠くなるような、かつ不確かな流れですが、私たちは確かにその流れの中に生きていて、手を伸ばしさえすれば、その言葉を受け取ることができます。手を伸ばす勇気。そこからしかなにも変わっていかないのかもしれません。読むだけでなにが変わるのかと言われるかもしれませんが、読んだという事実が発生する、確かに発生するということは、私にはとても大きなことに思えます。
 現実なんて所詮それぞれの頭の中にしかありません。なにを目にするか、なにを読むか、なにを身体に取り込むか、それぞれの体験がそれぞれの現実を創りあげてゆくのなら、私はこのような祈りに手を伸ばす勇気を持ちたいです。

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