地球にちりばめられて

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地球にちりばめられて
多和田 葉子 (著)
講談社
2018

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。

誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。











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 今年、とても楽しみにしていた新刊の中の一つが多和田葉子さんの「星に仄めかされて」でした。「地球にちりばめられて」の続編です。まずはやはり「地球にちりばめられて」を読んでからになると思うので、12月の新月メールでこの本を取り上げたのですが、今年の5月にウェブマガジンの「雛形」さんで結構語らせてもらい、再びあの時の熱量で書くことはできないかも・・と思ったので、こちらを読んでいただけたらと思います。→https://www.hinagata-mag.com/column/38884(HPは2025年7月をもって閉鎖されましたので、下に追記します。)
(2020.12.15)

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新刊が待ち遠しい作家が何人もいます。多和田葉子さんはその中の1人です。
本書は2018年に刊行されました。言語学科の院生であるクヌートは、消滅したと言われている国の出身者Hirukoと出会います。Hirukoが話すのは「パンスカ」という手作り言語。それは、「通り過ぎる風景がすべて混ざり合った風のような言葉」で、「細い糸をよりあわせて、ぎりぎりで伝わるようにつくられた工芸品のような言語の美」を持ち、聞く者は「水の中を泳いでいるみたいになる」といいます。「パンスカ」は「わたしだけの作品」、「真剣勝負」と言い切るHirukoに、そのような気持ちで言語を口にしたことがあっただろうかと考えさせられます。
Hirukoとクヌートはひょんなことから共に旅に出て、その道々でアカッシュやノラ、テンゾと出会い、さらにはHirukoと同じ国の出身者Susanooと出会います。彼らの生きる世界は「外国人」が死語となっている世界、誰もが移民になりえる世界。人間が流れゆくものであるだけでなく、Hirukoにとっては言語も今の自分の状況を映す鏡であり、明日同じである保証はどこにもない、不確かなものです。
私は生まれてから迷いもせずに「日本語」を選び取り、日常で書き、話しています。自分が発している言語は果たして、自分の思いを表現できているだろうか。その言語への自信は一体どこから来るのだろうか。パンスカは「母語なんかよりずっと優れた乗り物だ」と言い放つHirukoを前にすると心細くなってしまいますが、それでも言語は人と出会わせてくれるし、予想もしなかった考え方にも出会わせてくれます。そうして互いに影響し合い、より豊かな世界を見せてくれる可能性を秘めているという言語への希望も感じさせてくれます。
この本の最後は、6人のストックホルムへの旅を示唆しています。不安定で揺れ動く毎日ですが、この時間軸の先に、また新しく、そして懐かしい表現が弾けるきらめく旅に同行できる日があるのだという希望を残してくれます。

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